12月 8日 小箸上げ、とうど呼び、秋がえしき

仲冬 二十四節気: 大雪

(おひら おぼろ汁 甘酒 天ぷら ずきんかぶり)


農作業がようやくかたづき、12月に入ると1年の間で世話になった人たちをよぶ「とうどよび」を行いました。
 家から嫁にでおばたちが、2日も3日も泊まりがけで手伝いにきてくれるので、家の中は急に賑やかになります。「れんこん、ごぼうは少々生でもいいよ」等と言い合いながら、おひらを大なべで煮るにおい、土産っこ(つとっこ)を作るためにわらをすぐる手、その手の動きにおっかぶせるような「でっけえ土産っこ作れや」の年寄りの声。こんにゃく、豆腐、そばを打つ音。たいへんな作業のはずなのにみんなどこか弾んでいるようでした。
 ‘とうどよび’の当日は、男衆は酒を飲み、女衆は甘酒を飲み、親についてきた子供たちは、白いご飯にいろいろなおかずを食べながら、いつもと違う大人をめずらしげに眺めていました。
 ‘とうどよび’が終わる頃から雪が根雪に変わり、雪の中の生活が始まります。1ヶ月遅れの正月までの間は、大人も子供も一生けん命働きました。(12月の31日は昔は小さい年取りを言いました)学校から帰ってくると、大根飯にいも汁(いもじり:とろろいもをすり鉢ですり、みそ漬けのだし汁でのばしたもの)の食事もそこそこに済ませ、縄ないに出かけます。仲の良い友だちの家を順に廻り、縄ないをしたものです。夜も夜なべに縄ないをしました。11、12才のころでしたが、つらいと思ったことはなく楽しみでした。縄ないに飽きると大根のずみ漬け(がまずみの赤い実色できれいな桃色に漬かっていた)やしょうゆのみ湯、時には貴重なくし柿を食べたりと、友達と楽しいひと時を過ごしました。
 大根のずみ漬けの桃色は、まっ白い冬の中でも今も心の中に鮮やかに残っている色味です。
 私の子供の頃は、毎年それはそれは大雪でした。天から掃き落とすような雪の中での生活は、しいのい事もたくさんありましたが、今思い出されるのは楽しいことばかりです。(「あらいのごっつぉ」より 参考文献))

 

「瑞穂の昔」のとうどう呼び

農作業|「瑞穂の昔」飯吉 達雄 著 > とうどう呼び

written by murachef.


◀「ふいご祭り」 | 「月忌じまい(がっきじまい)」▶
村の歳時記 > 一覧(archive_index)